学監からの情報発信<起業家教育の現場から>① 『我々のこだわり』

 

 はじめまして。本学学監の櫻澤です。学監とは教育界の用語で、当該組織内の教育活動の責任者兼品質管理担当を意味します。オーケストラに例えれば、コンサートマスターのような立場にあります。これから定期的に、本学の教育活動やその周辺の事象、そして起業家教育全般に関する想いを、このブログで皆さんにお伝えしていくこととします。あくまでも私見であることをご了解の上で、ご笑覧ください。
個人的なことで恐縮ですが、私は大学院修了後、コンサルティングビジネスに8年間関与した後に大学の教員となり、それ以降は昨春の定年退職に至るまで、ずっと産官学連携の中に身を置きつつ、大学・大学院において経営戦略論・事業創造論領域の教育と研究そして行政施策立案等を行い、その後半の20年間は起業家教育にも取り組んでおりました。幸いなことに、学部・大学院指導のなかからは、数多くの経営者や管理者を輩出することもできました。そして最近、恰好よく言えば、あえて「無定年の人生設計」を選択し、この起業家教育そして産学官連携を「自分事化」するため、「学」の世界から「産」の世界に引っ越して、起業家教育ビジネスの教育のみならず、その経営にも参画することにしました。おそらく、この選択を一番喜んでくれたのは産業界の人たち、とりわけ一緒にベンチャー支援を展開していた経営者たちであったのです。この学生起業大学の創設者の田中さんもそのひとり。彼は実は今から10数年前の産学連携のパートナーであり、当時は学生のインターンシップをそして今は私の乱入!?を快く受け入れてくれたのです。
 さて、本学はまだ小規模組織であり、その事業展開も業界用語にあてはめれば、まさにEarly Stageに位置しています。それでもなおベンチャー企業と同様に、独自性と独特な個性を保有した野心・野望・信念そして長期的シナリオを保有しており、その一部をすでに事業展開上のこだわりとして表出させています。その一方、そのようなビジョンやミッション関連事項を共有しつつ、早期収益化に向けてみんなで取り組み、受講生確保や広報活動について、いろいろと腐心していることも事実です。
 勝手な言い分かもしれませんが、本学は「起業家教育版オンライン松下村塾」を標榜しつつ、高校生から若手社会人までを主要顧客層と位置づけ、個人別指導重視型の起業支援をビジネスとして展開しています。同時に、その指導内容もかなり個性的で、アメリカのバブソンカレッジの教育体系とも相通じるところがあるのです。単なる知識やノウハウの付与・伝授を行うだけでの教育体系ではなく、半期完了のコースであるにも関わらず、個別指導・カウンセリング・相互研鑽プログラム・ロールモデルとなる先輩起業家の登場等の機会設定を、先進理論やビジネスモデルの講義と同等のウェイトで設定しているところに、我々の教育体系の代表的なこだわりを感じ取っていただきたいと願っております。さらに経験からの学びを加速化させるための受講生個人別のメンター設定も行っています。このようなきめ細かな配慮によって、受講生の起業の「自分事化」を深く促していきます。オンライン・サテライト教育という制約要因を抱えてはいるものの、ダブルスクール対象となる本学と高校・大学の学びとの相乗効果発揮や効率的な補完関係の構築についての検討にも配慮していきます。少人数の私塾だからこそ手掛けることができるキメ細かな配慮も自負しているところであり、講師・メンター間で受講生別のケースカンファレンスや情報共有のミーティングも定期的に開催されています。
 仕掛けと工夫はこの他にもいろいろあり、たとえば近日発表予定の独自開催のビジネスプランコンペの応募要項の記載事項にも、そんな要素をいくつか仕込んでおきました。また定期的に開催しているオープンキャンパス・イベントでも、講師・メンターによる受講生向けの「自分事化」支援の実態を感じ取っていただけると確信しております。
 いささかセールストークが長くなりましたので、この辺で留めておきます。次回は、本学が最も大事にしている顧客層である高校生とその起業支援について、その背景と現況をお知らせしたいと考えております。
(2026.03.15)

学監からの情報発信<起業家教育の現場から>② 『高校生向けの起業家教育①』

 

 学生起業大学の教育事業の代表的特徴の一つに、個別指導を中核に据えた高校生向けの起業家教育の継続的展開があります。開学以来、すでに10名程度の受講生がBasicコースを修了し、なかには国立大学経済学部進学と合わせて、我々のAdvanceコースに進む者も出現しております。ちなみに受講生の男女比はほぼ同数、地方在住者が過半数を占めています。なぜ、私たちがこの高校生という顧客セグメントに着目するのか、その背景から説明していくことにします。
そもそも高校生にとっての3年間の学びとは、もしかすると大学生以上に多忙で自由度に乏しいものなのかもしれません。そして教育内容も複雑多岐にわたり、途中からは進路選択に合わせて、より分化・細分化されていきます。昔ならば、「進学/就職」、「大学/短大/専門学校」、「文系/理系」といった大きな括りのなかでの選択であったものが、今どきの高校生はもっと複雑多岐で多様な選択肢の中からの意思決定を、複数回にわたって迫られる状況にあります。実は我々の受講生のなかにも、あえて通信制大学への進学という道を選んだ者がおりました。
さて、高校生が周囲や進路指導担当教員に、「将来は起業したい…」と話したら、どんな返事が返ってくるでしょうか。想定される典型的なコメントに「経営学部や商学部への進学を視野に入れてごらん」というものがありますが、はたしてこれは模範解答なのでしょうか。あくまでも一般論ですが、AO入試や指定校推薦の出願書類や面接時に「(将来の夢としての)起業」というキーワードを用いる受験生は、数多く存在します。しかし、経営学部に入学した学生の中で「(現実のシナリオとしての)起業」の夢を抱いている者は、いずこの大学においてもおそらく1~2割程度しかおりません。大半は就職希望なのです。そしてその1~2割の学生たちの大半は普通に就職活動を行い、そしてごく一部に、「一度社会に出てから、様々な知識やノウハウを身に着けた後に起業したい」と、現実的なシナリオを話すものが出てきます。経営学部や商学部には、個人事業主や自営業者の子女も一定数入学してきますが、卒業後に直ちに家業に従事という話はあまり聞きません。
一方、受け入れサイドの大学においては、経産省や文科省による起業家教育充実化の働きかけがあっても、起業家教育そのものに精通した専任教員の確保・育成は容易ではなく、実務家の客員教員としての登用程度の対応が目立ちます。講義・演習・実習と複数科目が設置され、複数教員が連携しつつ起業家教育領域に専従配置されている大学は、わが国ではごくわずかにすぎません。ビジネスプランニングのイロハは体験ベースで語れたとしても、起業家精神・イノベーション論・ベンチャーファイナンス・ビジネスモデル等の諸領域の教育をカバーし、かつ産学連携も企画推進可能、そんな達人はなかなか見つからないのです。受け入れ側の現状はこんな感じと思ってください。経営学部を目指せば…とアドバイスを受けた者が、満を持して入学し、その後に直面した現実が好運に恵まれていることを祈りたいと言ったら、言い過ぎかな。
このような教育インフラ面の課題のみならず、大学における起業や事業創造に向けての検討に際し、市場・技術対応にも課題は多いと推測されます。大学発ベンチャーの多くは理系もしくは学際系の大学院研究室から生起されますが、大学直属のインキュベーション機能の保有と連携、そしてVC等とのタイアップはごく一部の国立大学等に限られています。AI、データサイエンス、ヘルスケア等の先進領域での学際的発想からの学部・学群づくりも進んでおりますが、教育・研究成果の事業化への着目とその基盤整備は、まだ緒に就いたばかりの状況にあります。同じような傾向は高等学校にもみられます。現代の高校生が直面する新しい学びの科目に「創造的な探求の時間」というものがあります。実社会との係わりを重視しつつ、地域や社会の課題の解決策をみんなで模索していくような内容イメージも多い様子ですが、このなかにはマネジメントの基礎知識や市場・技術の洞察力を求められるものもあるのですが、そうでなくても多忙な高校教員にさらなる教務負担をかけるような要素も散見され、課題設定や検討のアプローチ方法に一定の制約要件を設定している高校も多い様子です。これでは例えば定番のテーマである地場産業の活性化策とは全くかけ離れたAI活用型のニュービジネス創造に関心を持つような高校生がいたとしても、的確な指導や有益なアドバイスを受けることは極めて困難な状況にあるのです。事業創造やビジネスプランニングの教育体制そのものが、現代社会の市場や技術に追いついていけていない様子です。
こんな教育環境の中で、高校や大学で学ぶ若い世代が自らの「起業」や「事業継承」に関心を持ったとしても、そのニーズを受け入れ、速やかかつ的確な教育的支援の機会を設定することは極めて困難となります。
いささかまわりくどい背景説明となってしまいましたが、本学が高校生・大学生向けのダブルスクール型・オンライン・サテライト教育型の起業家教育の事業化に着手した背景には、上述のような教育環境の中で、とりわけ地方在住の起業を夢見る若者の悲痛な叫びに応えたいという想いがあったからなのです。冒頭で本学の修了生・在学生の過半数が地方在住者と説明しましたが、彼らの多くは起業を学ぶインフラの未整備状態を嘆くのみならず、鮮度のいい起業支援・啓蒙関連情報の入手困難性とその東京一極集中傾向を訴えています。  上述のような現状では、高校でもそして大学でも期待に応えるような起業家教育を受けられる可能性も低いのかもしれません。また仮に受講することができたとしても、地域産業論や社会課題との関連においての学びに限定されてしまう可能性もありそうです。
私たちは高校や大学の教育メニューを否定するつもりはありません。起業に向けてのファイティンポーズが取れている尖った人材を発掘し、早期戦力化していくため、彼らのニーズと力量を把握の上で、既存の教育体系と補完関係にある新たな起業家教育システムを創造したいと考えているのです。そして最初に手を差し伸べたいターゲット顧客として、地方在住の起業意欲旺盛な高校生を選定したのです。前回のブログで、本学は「起業家教育版オンライン松下村塾」を標榜しつつ、高校生から若手社会人までを主要顧客層と位置づけ、個人別指導重視型の起業支援をビジネスとして展開していますと申し上げたのも、こんな理由からです。
でも、この地方在住の起業意欲旺盛な高校生にストレートにリーチする方法の確立は、決して容易な作業ではありません。率直に言えば、かなり苦労していることも事実です。それでもなお、我々自身が不確実性に翻弄されることなく、早期に独自の方法論を確立していきたい、そう思っております。
それでは我々が考える高校生向けの起業家教育とはどんなものなのか、それを次回のブログでお示しすることとします。
(2026.03.20)

学監からの情報発信<起業家教育の現場から>③ 『高校生向けの起業家教育②』

 

 新年度を迎え、今期もまた起業意欲旺盛な新しい受講生の皆さんと学生起業大学でお会いできたことを、嬉しく思っています。今期の入学者は、Basicコース4名そしてAdvanceコース3名と少数ながら、高1から社会人まで多彩なメンバーが揃っています。 私たちの教育事業の代表的特徴の一つに、個別指導を中核に据えた高校生向けの起業家教育の継続的展開がありますが、開学以来、すでに10名程度の受講生がBasicコースを修了し、なかには国立大学経済学部進学と合わせて、我々のAdvanceコースに進む者も出現しております。ちなみに受講生の男女比はほぼ同数、地方在住者が過半数を占めています。なぜ、私たちがこの高校生という顧客セグメントに着目するのか、地方在住者向け指導に拘るのか、その背景から説明していくことにします。
 ご承知の通り、ここ数年、小学生から高校生向けの(行政用語をあえて用いれば)「アントレプレナーシップ教育」の重要性が文科省・経産省等から提起され、そのモデル教育体系の指針のようなものも数多く提示されています。これを受けて様々な産・官・学がこの領域の実験主義的なイベントを開催しつつ、その基盤整備に着手しています。キッズ向けのビジネス体験イベント、親子向けの関連図書の刊行、中高生向けの職業体験イベント、そして高校生向けには総合的な探求学習の時間内で、地域課題をビジネス手法により解決していく方策の検討のような教育メニューの設定がその代表例ですが、いずれも文科省等の指針に提示されているメニューとほとんど替わりありません。一方、高校・大学においても、自校の生徒・学生の募集対策や入試対策・学部の個性化と関連付けつつ、また高大連携を加速させるための手段として、この種のイベントや教育メニューの設定とその個性化を行っています。そこには実務家教員や中小企業診断士の資格を持つ教員が関与している状況が多いように見受けられますが、彼ら自身が起業や事業創造の現場に精通しているとは言い難いような感じもしています。
 このような現代社会の「アントレプレナーシップ教育」の施策・指針・内容・具体的展開事例にみられる典型的な問題は、それが大都市圏のインフラにフィットした教育体系になっていること。そして学び手である児童・生徒・学生達の個人的な起業の夢への着目と配慮が十分になされず、あたかもユニフォームを着させられるような固定的発想での指導に陥っていること。そして到達目標として設定されるビジネスプラン作成の内容にも、形式的な観点からの指導が入っていくこと…、と見ています。言い換えれば、地方都市では起業の夢を抱く児童・生徒・学生がいたとしても、満足な起業家教育の継続的学習はかなり困難であり、その内容や共有可能な情報も大都市圏に比べてかなり見劣りしそうな状況にある。教育人材も圧倒的に不足。さらに検討の視野に入る産業領域も伝統的地場産業やソーシャルビジネス領域に限定されてしまいそうと感じているのです。すでにそのような悲痛な叫びは数年前から我々に届いており、たとえ当該人物にリーチすることがかなり困難であっても、何とかして我々の存在とその試みを伝え、救いの手を差し伸べたいと考えているのです。
 まずは人生経験・起業事情・社会活動等の領域の達人たちが、個別面談・集合指導しつつ、受講生の起業意欲や背景そして将来展望を確認し、それらを肯定的に受け止めた上で、現時点の準備動向を点検しつつ指導計画を立案し、関係者間で共有していきます。その一方、あわせてマネジメントの基礎知識の指導も行っていきますが、いきなりビジネスプランニングに関与させたりすることはなく、市場や技術の見極めを通じたビジネスの見方、各種数字の活用方法、フィールドワークの方法、情報収集の方法、組織運営の方法等に関する基礎的な指導を重視し、例えば「駅の構内や周辺」でどんなビジネスが成立しているのかに関する分析を対象顧客別・無人化・デジタル化等の様々な視点から行い、そこから多角化やビジネスモデル等の説明を付加していく・・・、そんな試みを通じて受講生のビジネス洞察力向上を図ったりもしています。そして議論を重視し、まさに松下村塾のような寺子屋型のシステムで対話型の指導を展開しています。
 検討テーマや方法論を押し付けることなく、各自の夢を尊重し、その具現化に資するようなメニュー設計に配慮しているつもりですが、現代社会の「アントレプレナーシップ教育」の指針とはかなり異質であることは確かです。この情報発信のコーナーでも取り上げる予定でおりますが、我々は今夏にビジネスプランコンテストを独自に開催しようとしています。その応募テーマ設定に、あえて「自由とします。ただしあなたが近い将来、自ら本気で手掛ける事業であること」としている意図や背景を、上記の文章からご理解いただけたと確信しています。ついでながら、そのコンテストの応募条件に例外規定を設定し、「提案事業内容が「事業継承予定者による継承予定事業の新機軸創出策もしくは新規事業展開の方向性提示」である場合は、①もしくは②に該当するその当事者をグループリーダーとし、グループメンバーに現事業主(年齢等不問)を1名含めることを例外的に認めます。」としました。こんな試みはおそらく前代未聞の様子ですが、創業経営者や起業家教育のプロからは好感を持って迎えられそうです。
 我々の指導理念の一端をご理解いただけたとするならば、非常に嬉しく思っております。
(2026.04.08)

学監からの情報発信<起業家教育の現場から>④ 『起業に関心を有する高校生の皆さんへ』

 

このブログの存在にお気づきいただき、そしてこの文章をお読みいただき、ありがたく思っています。当方は経営コンサルディングの業界で10年弱仕事をした後、高校・大学・大学院そして社会人向けの起業家教育の現場に40年近く関与し続けた、わが国にはほんのわずかしかいない職人タイプの教員です。業界用語でいうならば、「現場志向の実践的研究者」「臨床型の専門教員」ということになります。失礼ながら、最近の大学によく見られる客員……という肩書の粗製乱造型で研究業績にも乏しい実務家教員とは同一視されたくはありません。
両親ともに小学校の教員だった私がビジネスに関心を持った経緯は、まだ小学校の低学年だった頃、大手商社のシンガポール支店長だった伯父が一時帰国し、親族が集まる正月の宴会で、「この間、バスを10台売った」と自慢げに語ったこと。前回の東京オリンピック当時のことなので、今から60年前の話になりますが、なぜかその話の内容だけ、その後も鮮明に記憶していたのです。ただ単に、国産車両の輸出を仲介し、現地企業向けの大型商談を成立させたことに過ぎないのですが、そのグローバルレベルのB to B型ビジネスのスケールの大きさに妙に納得し、このことが子供心に「大学に行くなら経営学部」と決意させるきっかけとなりました。伯父も父親も既に他界していますが、「お前も教員になれ!!」という父親の勝手な願望、「ビジネスの修羅場を肌で味わえ!!」という伯父の叱咤激励を都合よく両立させ、私は双方の期待に応えたことになります。
なぜ、こんな話をするのか、そろそろ説明が必要ですね。起業や事業創造にはStoryが大事なのです。典型例を申し上げるならば、海外の有名なビジネススクールを修了しMBAホルダーとなった日本人が、自らの社会人経験を活かしつつ、アメリカ等で起業しようとした時、現地で提携希望企業やベンチャーキャピタリストとの面談や交渉で問われるものは、経営者としての資質、事業内容の市場性検討、数字による的確な裏付け、ビジネスモデルやアイデアそのもののユニークさ、組織運営のスピード感、パートナーとしての先進的技術人材の関与等といったオーソドックスな要素のみならず、当該事業推進の原動力や起爆剤になる人間臭いStoryの存在とその面白さ・説得力も重要な事項だと聞いています。そういえば、私がこれまで出会った数多くの創業経営者も、起業の経緯を問われると、みんな個性的な(いささか笑えるような)Storyを語っていました。「クラス一番のチビで運動神経無し、みんなに馬鹿にされていた。いつか社長になって同窓会に顔を出し、みんなを見返したい…」、「看護実習の時に担当患者から言われたひと言が妙に気になって…」、「駅のトイレで鏡を見た時、この何気ない誰でも体験する普通の動作の時、みんな何を思うか、それがビジネスのネタになるとひらめいた」…、そんな感じです。どことなく野心的だが、必ずしも論理的ではないようなこと、こんなことも大事だとわかってください。
私はこれまで、数多くの生徒・学生・社会人と接してきました。教室の中で、「起業に関心のある方はいますか??」と聞いた時、手が挙がる人数の比率は以前に比べて上昇していることは確かです。それでもなお、「なぜ起業に関心があるの??」と続けて聞いた時、個性的で人間臭い理由付けの回答が戻ってくることは稀です。チョッとどころかいつも寂しく思っておりました。私のブログの最初の方で、この学生起業大学の指導内容にはいろいろなこだわりがあるとお伝えしたはずです。「教えるだけでなく支えることも大事」、「個別指導・カウンセリングも充実」、「少人数のオンライン私塾だが最先端の教育内容」…、そんな話もいたしました。その意味合いが、上述したような最先端のビジネスの神髄と相通じるところがあることに、気が付いてほしいと思っております。「やさしく、されど奥深くが指導の基本方針」と言ったら、言い過ぎかな。(笑)
人生の目標設定はできても、そのための方法論構築が困難なのが高校生生活と確信しています。例えば探求学習に取り組んでも、みんなと議論して、それを自分事化していくことは容易ではありません。それだけの時間的余裕もなければ、結論出しは急がされるし、自分の意見は押し通せない。あの探求学習の方法論がアントレプレナーシップ教育の典型例だと認識されると、いろんな誤解が教員・生徒間に生じかねないと思っておりました。その根源的要因の一つに、そもそも自分で起業することを念頭にプラン作成・検討がなされていない場合が多いことも指摘できるのではないかな?? たとえば本学のBasicコースで学び、大学進学に合わせてAdvanceコース入りを目指そうとする高校生の受講生に対しては、まずは起業と事業創造の基礎知識を付与するのみならず、その自分事化の作業に取り組むための伴走を行っていきます。そして世界史や政治経済の学びが起業準備に直結することを説明し、焦らず体系だった学びの重要性を認識してもらいます。ただし、入試準備中はあまり深追いすることはしていません。進学先確定後の春休みにはその過ごし方、大学1&2年生時の科目履修の方法、インターンシップやアルバイトの選び方、語学・ITスキルの充実方法、短期留学の検討…、こんなことを加味しつつ、起業希望の想いを少しずつ熟成させる個人指導を行っていますが、その頃になれば当然のごとく、なぜ起業したいのかという問いに対しては、個性的で人間臭いStoryとしての回答が返ってくるし、その内容はすでに受講生と当方の間で一艇の信頼関係のもとに共有されるようになっています。
 不確実性対処能力の保有を問われるのが起業家であることは確かですが、千里の道も一歩から、長期的視野を持ちつつ、やれることから少しずつ準備していく。そして方法論とタイミングの確定を急がない。そんなスタンスで起業の準備を進めていってください。圧倒的自由を勝ち取りたい、人の上に立ちたい、好きなことをやりたい、大金持ちになりたい…、そんな定番の起業発想に「プラスアルファの個性的な理由や背景を加味する」、そこから起業準備を本格化させてみてはいかがかな。
最後にマクドナルドを巨大企業に成長させた名物経営者のレイ・クロック(Ray Kroc)の名言を紹介しておきます。私の本学での講義の基本的スタンスと同一であり、皆さんともぜひ共有したい内容と思っています。
Be daring, Be first, Be different 「勇気を持って、誰よりも早く、人と違ったことを」
(2026.04.08)